認定者インタビュー「 (株) 北の恵」
2022秋認定 (株)北の恵インタビュー
2023年1月10日 [認定者インタビュー] [Made in Furano 事務局]
「このお店も、あの味も、北の恵さんだったんだ。」
(有) 西川食品として始まり、外食事業や仕出し・弁当、給食事業にと50年にわたり多方面からこの町の食に携わり続けてきた(株)北の恵。
小中学生の成長の源である給食、家族や地域行事での食事やお弁当、また実は知らぬうちにも、私たちの食に密接に関わっていることは間違いありません。
2021年に社名を変更してからもなお、地域の人々に親しまれ、この町に欠くことのできない存在となっています。
国道38号線沿いに位置するAコープフォーレスト富良野店の2階に店舗を構える、「レストラン四季の恵」は、(株)北の恵が運営する実店舗の一つ。食事や会話を楽しむお客様の笑顔が飛び交い、大切な人と時を過ごせる場所として、世代を超えて愛されています。
今回お話を伺ったのは天野さんと富山さん。
調理においてスペシャリストが揃う北の恵で生まれた“メイドインフラノ”は富良野の食文化を包み込んだその名も「手包みふらの餃子」。
富良野の食文化を包んだ餃子
天野さんが元来中華の専門ということもあり、本場中国の皮の厚い餃子を作るつもりで始めました。
以前講師として参加した東川の日本語学校での調理実習で、中国からの留学生さんたちの作る“家庭の餃子”がどれもこれも美味しく、起点となったそうです。
本場中国ではどの家庭も皮から作る、皮から作るのが餃子。
それぞれ具材も調味料も違うのにどれもおいしい。
こんな餃子を作りたい!
おいしい理由は一つではないことがわかり、ここから北の恵の餃子を作る旅が始まりました。
餃子のタネに使用する上富良野ポークは雄大な土地で育った良質な豚で、上質が故の旨味の強い脂が口いっぱいに広がります。
餡にする際にも塩加減や揉み具合の調整を何度も重ね、
出来立て熱々で食べても、時間を置いて食べてもちょうど良い具合を見つけ出しました。
「焼き上がった餃子をあえて何時間も置いてから試食するなど、お客さまの立場に立って検討を重ねました。」と富山さん。
富良野産玉ねぎは自然の甘味と栄養価の高さが本州産の数倍にもなり、国内でも最高品質のひとつと言われています。中でも特にこだわりを持った栽培をしている契約農家の鎌田ファームさんから直接仕入れた玉ねぎを使用。
その他の野菜においても富良野産・道産にこだわり、
カットは野菜の食感を残すために手作業で行なっています。
繊維に沿った切り方、沿わない切り方、形を残す切り方など手間はかかりますが、そうすることで噛みごたえや食感を楽しめるだけでなく、野菜のエキスを存分に活かすことができます。
餃子の餡を作る際、野菜の水気を切ると良いと思われがちですが、野菜の水分まで丸ごと餡に含むことで、より瑞々しく仕上がり、その旨味があるからこそ、タレをつけずともしっかりと味わいを感じられる所以となっています。生姜もニンニクも入っていないというから、尚驚きです。
季節によって甘味の異なる野菜ゆえに、餃子の味もその時々により少しちがう。野菜から富良野の季節を感じることができると言っても過言ではありません。肉汁だけでなく、野菜汁も余すことなく味わってほしい餡なのです。
ここまでこだわり尽くした餡を包み込む皮ももちろんこだわりが詰まっています。
焼いても時間が経っても崩れや割れの起きにくい程よい弾力を出すために幾度となく試作を重ねました。
生地作りには季節やその日の温度・湿度も影響します。
そのため職人たちが知恵を出し合い、餡も野菜汁も逃さずしっかり包み込める包容力が求められる皮を追求しました。分厚くある必要もあり、通常の2倍の大きさと重さは必然であったともいえます。
そうして誕生した餃子を全国のみなさまに届けるべく、2022年12月、『北の恵ふらの宅配便』を開始。「手包みふらの餃子」を含む3商品をお届けしています。
さらに、開発中の商品も含めて心を込めて作った、ふらのでしか食べられない味をご自宅で楽しんでほしい、という想いを乗せて全国のご家庭へ届いてほしいと願います。
そして常に進化を求めながら、その時代に沿った“美味しい”を求めていく作業は、この先もずっと続きます。
多世代に渡って愛される味とお店を目指して
平成13年のオープンから20年以上続く「四季の恵」は、多世代が集っても選べるほどメニューが豊富であり、
何より、ほっと落ち着き安らげる空間、ついつい長居してしまう心地良さもお店の魅力のひとつ。
開店当初、お父さんお母さんと来ていたお子さんが、大きくなり、ご自身のお子さんを連れて、おじいちゃんおばあちゃんと3世代で来店してくれるということもあり、お客さまと時の流れを共に感じられることも大きな喜びです。
ハタチを越えたお店として、今後は3.5世代、さらに4世代と愛されるお店を目指します。
ただ一心に、お客さまに喜んでほしい。
おいしいという声や表情、それこそがやりがいであり、
「美味しいね。」「また食べたいね!」と想ってもらえる味を追求する努力に限界はありません。